暗闇にヤギを探して3

暗闇にヤギを探して〈3〉 (MF文庫J)

暗闇にヤギを探して〈3〉 (MF文庫J)

読了。メガロマックス面白かった。
テンプレ萌えコメも、穂史賀雅也の寓話的で幻想的な語り口にかかるとすげー魅力的に生まれ変わるのですよ。小説のどこもかしこもに、切ないハートがだだ漏れになってるわけですよ。
とはいえたぶん打ち切りですよねこれ。3巻計画ならまひるとか出さないだろうし。でもまあ、密度濃いしむしろプラスになったんじゃない?
以下hobo_kingさんの疑問に答えてみる試み。ネタバレのみなので隠す。



• 風子が着ぐるみを着ている理由。
• 羽生まひるの扱い。
• 2巻で出てきた幻覚はこう繋がったか! と思いましたが、それでもやっぱり良く分からない。
• 長期連載になると必ずかかると言われる伝説の病の登場ですか!? マジですか!?

http://d.hatena.ne.jp/hobo_king/20070429/1177863348


1番。まず物語外からの視点で言えば。学生を16年もやってりゃ、休み時間にクラスの他の女子とだべらないで本を読んでるか机にぐたーとなってる、近寄りがたい空気を全身にまとった、ケモノの瞳を持つ女の子をひとりふたりは目にすることがあると思うんだけどどうだろうか。俺は見たことあるけど。ああいうのはなんて呼べばいいんだろうね。猫をかぶってるの逆。虎をかぶる?ハリネズミをかぶる?
次に物語内の視点で言うと。合人が風子を探しながらきぐるみを着ててくれればすぐに見つけることができるのにと思う場面が何度かあったように思うのだけど。逆に言えば風子がきぐるみを着込む理由はなにか。
あとミリオン先輩はちょっとドリームが入った異食症 - Wikipedia摂食障害萌えのアレンジ。まひるはただ可愛いだけですね。


2番と3番。1巻でのこれ以外ないっていうラストシーンもそうだけど、この作者書いても面白くならないところはホントに書かないよね。
いるところといらないところを見分けられる人だ。それに普通じゃちょっと見る事の出来ないような美しい情景を見る能力も持ってるしさ、すごく目のいい人だよ。魔眼。


4番。これスゲエ。てんさい。
合人が特別な好きを自覚し告白に至る過程をこの1冊に収めるのはムリなわけですよ。じゃあどうするか。
まず手はじめに合人に告白させる(オイ)。つぎに合人側の積み上げがないことによる座りの悪さを物語上に具体化する形で記憶喪失イベントを起こす。そして一度告白した事実とそのことを忘れてしまった欠落感を説得力として改めて大団円に持っていくという寸法。
どんなマッチポンプだ。アクロバット過ぎるだろ。


あと風子ENDの是非については。ものすげえラブ電波を出しながらそれが暴発しないよう押さえて押さえて、3巻に向けて引き絞られた弓矢みたいになってた風子に対して、先輩はもうすでにキャラクタのかなりの部分を使い尽くしてたから、まあ順当な線なんじゃねーのと思う。


次回作も買うよ。