ダークホルムの闇の君

ダークホルムの闇の君がハードカバーで出るんだってさ!
http://usagiya.hontsuna.net/article/1706654.html

ダークホルムの闇の君 (創元推理文庫)

ダークホルムの闇の君 (創元推理文庫)

異世界からやってきた資本家に世界全体を支配され、主人公パーティーとしてやってくる観光客たちに探索の旅を体験させるために無理やり戦争とかさせられてる世界の話。ラスボスにしてツアー全体の管理者「闇の君(Dark Lord)」に任命された魔術師ダークとその息子ブレイドが右往左往したりひどい目にあったりするぞ。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズファンタジーランド観光ガイド』isbn:4887216378ソード&ソーサリーの世界を舞台として、某ネズミーランドを逆転してディストピア化させるとともに一本一本のRPGの裏には斯様なデスマーチが繰り広げられてるんだよってことをファンタジー的に再現して見せた、爆笑痛快メタ・ファンタジーなんだ。
英国ファンタジーの偉い賞であるところのMythopoeic Fantasy Awardを『ハリー・ポッターと賢者の石』を蹴落としてゲットした作品でもあるぞ!


ジョーンズお得意のひねった設定の下で主人公がひどい目に合い続ける話だけど、エピソード密度がやたら高くて、どたばた系のジョーンズ作品では最高峰といえるんじゃなかろうか?
闇夜に襲い来る空飛ぶ怪物の正体や、NPCの雇用条件と言った内幕が暴露され今後ハイファンタジーがまともに読めなくなること請け合いだし、1/3も進まないうちにツアー全体の管理者であるはずのダークがまる焼きにされて行動不能になるなどトラブルぶりもいつも以上(に笑える)。
一方で凄惨な戦争シーンや泣ける家族の物語が要所で挟まるのでけして軽いばかりの話でもないぞ。
残念なのは訳文かな。硬すぎるのか詰め込みすぎなのか、どうも状況のイメージが沸きづらくて物語に入り込みにくい。今なにが起こってるのかを意識しながら読むとよいかも。グリフィン踊りとか空飛ぶ豚の大群に跳ね飛ばされる大学総長とか軍隊に号令をかけるドラゴンとかなんでそんなことに?みたいなイメージが頻出するところも作品の魅力なのでね。
あと主要登場人物は読む前に把握しといたほうがいいかも。以下割と主観。

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