キャラ立ちについて考えたこと

これhttp://d.hatena.ne.jp/izumino/20060124/p1やこれhttp://d.hatena.ne.jp/REV/20060125#p3なんかを読んで。割といまさら。考えたっていうより整理したって感じか。どうか。まあいいか。

キャラが立つには

漫画とかのキャラは紙に描かれた情報の集合なわけだから、より刺激的な情報を、よりたくさん持っているキャラが、より面白いキャラだ。
ところがこれが単なる情報の羅列ではダメで、それらの情報が読者の頭の中で連結されてないといけない。
各情報の刺激が小さすぎると情報のつながりが意識されづらく、キャラが立たないか、立っても弱い。つまんない情報いくつかより、たった一つでも刺激的な情報のほうがキャラが強い。よほどたくさんの情報があれば別かも知らんけど。あと信念とか過去エピみたいな情報は、情報が因果の方向に直列に並ぶのでつながりを意識しやすい。
また他の情報と矛盾した情報は非常に連結されにくい。基本ただのノイズ。


いくつかの情報を得た結果、読者はそのキャラの本質についてめいめい勝手な判断をする。つまり予断を持つ。予断は新しい情報によって絶えず修正されていくものの、あんまりにも読者の予断と整合性のない情報はそれまで持っていた情報の連結をばらばらにしてしまう可能性があるため違和感や不快感を喚起し、読者はノイズとして無視するか、脳内設定を作って合理化しようとする。
絶え間ない予断ってのは、まあつまり脳内キャラのことなんだけども。

キャラが立つと

キャラが立つとどんないいことがあるのか。もちろん情報の塊ってだけで十分面白いんだけど。
まず新しい情報をどう受け取るかという点。立ってないキャラの情報はノイズであり立ってるキャラの情報のみ情報として受け取れる。これはこれから新しく得る情報にも言えるわけで、つまり立ってないキャラが何かするより、立ってるキャラが何かする方が読んだとき面白い。
もうひとつ。非常に刺激的な情報を十分に楽しむために。漫画の中では人間の心理の因果の情報と物理学の因果の情報が同格なので、キャラがよほど強い場合は物理学のほうを無視したりできる。
例)
少年→敵→大爆発・・・(゚Д゚)ハァ?
父親を尊敬している少年→父の仇→大爆発・・・(゚∀゚)イイ!
後者の場合、強いモチベーションを持ったキャラなんだから、相応のことをやるだろうという読者の予断が先行する。だから過剰な漫画的表現も上滑りしない。
キャラによっては地球全体絶対破壊ミサイル素手で受け止めることも可能。

キャラクターとキャラ

キャラってまだちょっとよくわかんない。明確な区分線はないんだろうし、予断を中心とした認識だとは思うんだけど。
その上で人間の認識力は結構ザルなので記号的な特徴や印象的なエピソードがないキャラは、作品から引き離すととたんに薄くなってしまう。キャラとしては弱いけどキャラクターとしては立ってるってのはこれ。
あとそういうのでは切り取り方も問題で、例えば人間関係が面白い作品から単体で脳内キャラを切り取ってきても面白くない。面白さを供給している要素を置いてきちゃってる。

萌えについて

正体が分からんものはたいてい複数の要素が混然としている。
1. 女の子とかがかわいい
2. 本来はつながりが弱い情報を読者側の思い入れパワーで補ってつなげる。発見する萌えってやつ。上手く利用してるのがネギま。持ってる情報が弱くても少なくても、僕らの思い入れがあればキャラが立つ。例)ゆーなはいい娘なんだよ!ホントに!!
3. キャラの情報を一部分だけ切り取ってきて楽しむ。2次創作とか。属性萌えもか。ツン→デレの部分の情報だけでも萌えるわけで。
実際は一度にこの3つ全部をやってることが多いわけで、そこから混乱が。たぶんな。
「俺の妹は関羽」は3+2。関羽のキャライメージと妹という様式の間に僕らの妄想で橋を架ける。


追記
1が受動的な萌えで2と3が能動的な萌えってことになるか。
1は女の子とか動物とかがあんまりかわいらしいもんでハートにズキューンてなってやられましたごめんなさいという。
2と3は映画の予告編みたいなもんかな。映画の技法のモンタージュと思ってもいいか。いくつかの情報からその先の世界の広がりを感じちゃう脳みその働き。
まあ最終的にはみんな胸の高鳴りに行き着くわけで、わざわざ切り分けようとする人がいるから混乱してしまうんだよな。切り分けるの好きだけど。