キリスト教の人は旧約聖書とか読んで「かみさま、私たちをためさないでください」と言ったんですよね。あんな苦労はしたくないから。
ジャンプマンガばかり読んでいるとつい忘れてしまいがちだけど、本来物語のなかでスポットライトを当てられるというのは、たいへん不運なことです。悲劇にせよ喜劇にせよ、ほとんどすべての物語は他人の不幸によって構成されています。悲劇的な結末であればもちろん、またハッピーエンドに終わる物語でさえ、というよりだからこそ、そこに至るまでの主人公の苦難が僕たちの娯楽となるわけで。