オーフェンの批評なんかを集めてみようかと思ったんだけど、出てくるのが「SSMGの人の日記」さんの記事ばっかりだったのでやめる。端からまとまってるのでまとめる意味がない。記事は面白いけど。


以下オーフェン雑メモ。


オーフェンの作品構造は、アザリー・イスターシバ/天人種族・女神に、オーフェン・チャイルドマン/魔術士・魔王が対抗できてないので、クリーオウほか世の中諸々がひどい目にあうって感じか。そのほかの女性キャラもほぼアザリー側(姉・嫁・母)とクリーオウ側(娘)に分ける事が出来る。アザリー側のキャラもより上位のアザリー側のキャラによって脅かされている。オーフェンが年下に萌えないのはクリーオウ側のキャラに対するスタンスが父親だから。西部編では最後の最後でアザリーが格上になっちゃって東部編に突入。東部編は女神に対する魔王が現れて終了。
無謀編ではオーフェンとコギーとの夫婦仲が完璧なのでクリーオウは安穏としていられる。トトカンタは無能な女神に支配された空間である。
プレ編はチャイルドマンが強すぎなのでこうした構図が成立しない。


オーフェンは日常と非日常が喧嘩する話でもあり。シリアスとギャグは比率は違えど本編・無謀編・プレ編のどれもに両方が入っている。西部編のクライマックスが対立の頂点であるし、東部編ではだいぶ後退するもののハーティアの「アミダでもしろよ」とかボルカン・ドーチンの「やっぱりまだ生きていた」とかがある。
基本的には非日常のほうが日常より強い。ギャグキャラも死ぬし。だけど日常もしぶとく生き残ってたまには非日常を殴り返す。
ちなみにこれを頻繁に繰り返すことで物語を予想のつかない方向に持ってくのがエアマスターの手法。
注目すべきはオーフェンにおいて日常を保証してくれるやつら(旅の仲間+ハーティア)がみんなトトカンタの住人である事。つまりオーフェンにとっての守るべき日常*1とは無謀編である。
西部編のクライマックスで鍵となるオーフェンの5年間の経験を、読者は直接的には無謀編を通してしか知らない。
西部編クライマックスの「あほかぁぁぁぁぁぁっ!」は無謀編を読むことでより力強さを増す。ここにおいて真に無謀編は本編と連結されている。


ラノベ史的にはスレイヤーズ(89)とブギーポップ(98)がでっかくあって、オーフェン(94)とブラックロッド(96)がそのあいだをつなぐんだろうけど。
90年代オタカルチャーの明るい方の代表作のひとつであるスレイヤーズと暗い方の象徴であるエヴァオーフェンスレイヤーズの後継者であり、またエヴァるろ剣オーフェンを不殺のキーワードで結べるならば、ひとつの作品の中で明るいほうの90年代と暗いほうの90年代が激突してるのがオーフェンである、とか言えるか?言えないこともない、くらいか。


しかしオーフェンの世界設定は素晴らしすぎですね。

*1:いや、非日常側の人のことも守るけどね