子はかすがい

たぶん人の二面性をテーマにしたトランスジェンダーブコメディ。事故死した恋人の代わりに、母親として息子を育てている須田真琴(29歳・男)が、かわいいあの娘と女装状態で仲良くなっちゃったり、挙句惚れられちゃったりしててんやわんやする話。ヤンガンにこれが載ってると大変うれしい。
同じ作者の『ハレグゥ』シリーズでもそうですけど、本来的にギャグマンガの世界の住人であるはずの変な人が、抗いがたい社会的責任(おもに息子)のために一般常識の世界に引き摺り下ろされ、そこで自分が変であることについて釈明を求められたり責任を取らされたりするところに作品の面白みがあります。これが出来るのも金田一蓮十郎という作者がギャグ・シリアスどっちもいける稀有な才能の持ち主であるからなわけで、それを読める僕らも僥倖であります。
また子供の側から見ると、ダメな親と変態は理解不能である点と迷惑さにおいて同値であるという話にもなるかもです。