コスト/ベネフィット/もやしもん

もやしもん(3) (イブニングKC)

もやしもん(3) (イブニングKC)


面白さってのにもいろいろ種類がありまして。巧みな伏線とか演出の妙とか。そのなかでもよりインスタントでパッと見にもわかりやすい面白さとして、一場面における情報の量があると思います。僕はそうした場面あたりの面白さ密度が高い作品がえらく好きで、つまり封神演義とかネギまとかオペラ座の怪人とか千と千尋とかダイアナ・ウィン・ジョーンズの本のほとんどとかケイオスヘキサ3部作とかですけど、しかしそうした情報量の多さはしばしば読者に負担を強います。たまにあるスクリーントーン貼りすぎでウザイ!みたいな漫画とかです。
でありますから、一場面の中に面白い情報だけ増やし、あんまり面白くない情報を削っていくことで、読んでる人のコストを減らしベネフィットを増したいということになるわけです。
そうしてみると『もやしもん』の菌たちはきわめて優秀な存在であるといえましょう。読んでても全然負担にならない割りに、見てて可愛いしわらわらとたくさんいて面白いし種類とか名前とか特技とか持ってる情報は非常に多い。いろんな人が空いた余白に書き込んでみたくなる気持ちもわかろうというものです。
一方で、そんな菌たちを輸出することでみんなで楽しみつつ作品の株をあげていくとは作者と担当は真の策士であります。のせられて僕もつい机とかに菌の落書きを描いてしまうわけです。つまりかもし2.0。あるいは全人類もやしもん化計画とか。