オーフェン雑メモ2

以前書いたオーフェンネタ↓
オーフェン雑メモ
http://d.hatena.ne.jp/hatikaduki/20060823/1156311534
閉鎖世界の話
http://d.hatena.ne.jp/hatikaduki/20080428/1209400133

ずいぶん前だけどこんな話がありまして↓

不殺の主人公たちに関するメモ - SSMGの人の日記
http://d.hatena.ne.jp/megyumi/20060820/p9

  • 「不殺」でくくれるとは言ってもシンジくんと剣心ではだいぶん大きな年齢差がありますよね。オーフェンでいや、プレ編のキリランシェロがシンジで、はぐれ旅のオーフェンが剣心。それぞれ比較してみると面白い。
  • 西部編と言うのは、過酷な運命の下にある繊細な青年のビルドゥングスロマンであり、失われた家族をめぐる物語であり、閉鎖世界系の伝奇SFであるわけですが、しかしてクリーオウたちにとってどうだったかって言えば。
    • 少年少女の見上げる視線はオーフェンて作品にとって大事で。
    • クリーオウはなあ、やっぱセーラームーンなんだろか。影響ないとは言えないよな。クリーオウと月野うさぎももちろんだけど、「なんかこう黒っぽい年上の男性」としてのオーフェンとタキシード仮面も。女の子ドリームと言う観点から見るオーフェンはわりと一般的なものなんで無いか。
  • さてこれが東部編に入るとどうなるか。
    • オーフェンの成長物語はだいたい消化しちゃったので、オーフェンはもうドラマの担い手、共感の対象にはなりにくい。
    • そんで代わりましてクリーオウが90年代後半ぽい挫折と迷走に頭からダイブするわけですが。
  • 反転してオーフェンはどういう存在になったかと言うと。例えばあれ。ネウロ
  • 魔人型主人公という言葉を考えてみたんだけど。対義語は信念特化の怪人型主人公(ルフィとか)。
    • アクションマンガとかにおける過剰に暴力的な主人公に対するエクスキューズとして、「不殺」よりもちょっと後の時期(といっても相当かぶってるけど)を中心に流行った方法として、男主人公を魔物にするってのがあると思うのデスよ。主人公を感情移入不能無人格の暴力にして、無垢や正義といったヒーロー性や作品を牽引する人間ドラマは、ヒロイン(主人公より年下)が担保すんの。
  • いくつか類型があるので分類してみるぜ。

1 魔人型
『ケイオスヘキサ』『ヘルシング』『ハウルの動く城』『ブラックブラッドブラザーズ』『魔人探偵脳噛ネウロ』『バッカーノ!1934』他。

  • 主人公は黒とか赤の服を着た人外の魔物で線の細いロン毛の美形であることが多い。吸血鬼率も高し。
  • アーカードネウロが、人間及びその代表としての年下ヒロインの事が大好き(ただし恋愛としてでなく)である事と、オーフェン東部編(第2部)における超人の否定と言う思想やオーフェンとクリーオウの関係を比較してみると面白いです。
  • あとオーフェンて魔王なだけでなくヴァンパイア(作中用語で反政府主義者の事)でもあるんでしたっけか。

2 用心棒型
無限の住人』『リアルバウトハイスクール他。

  • 主人公はがっしりしたオッサン。荒野を行くアウトロー的な要素と、保護者・先生としての要素があります。
  • はぐれ旅オーフェンはいつも保護者としてふるまってたし、マジクへの魔術史講義や体術の訓練は作品の読みどころでした。

3 不良型
エアマスター』『スクライド』『でろでろ』他。

  • 主人公は目つきの悪いチンピラで頭が悪い。
  • このタイプだと、魔人主人公と年下ヒロイン云々とは別に、町の変態どもに対する“ツッコミ”役として主人公の暴力が許容されている側面が強いですね、無謀編オーフェンと同じく。

さてさて

  • 以下の記事↓

和月伸宏論(第二講):正しくありたくて不幸の原因と自分探しをしてた90年代「るろうに剣心」&「エヴァ」解題 - さて次の企画は
http://d.hatena.ne.jp/otokinoki/20051114/p1

において、セーラームーンショックの少年向けコンテンツへのあらわれとして、

かたや陰の側面は、「バトルヒロインは徹底的に陵辱されなければならない」「恋愛の成立は困難を極める」という点だ。なぜか? そうしないと少年主人公は存在価値がなくなってしまうからだ。

と言う話があったけれど。

  • 通常のバトルヒロインと比べてもだいぶんメンタルが破天荒なクリーオウが、ヒロインとしての機能を強く求められる魔人主人公ものってジャンルに出演した結果、引用部みたいな症状が激しく出て、東部編におけるあのような有様になったのではないか、とか。どんなもんだろか。
  • なお、戦闘力まで年下ヒロインに預けちゃって、その分ヒロインの聖性を年齢の幼さによって表現するのが、「絶対可憐チルドレン」「円環少女」「僕僕先生」みたいなロリものなんでしょう。このへんの作品の主人公もオーフェンと比較可能だなーとか思いつつ「魔術士王弁はぐれ旅」で調べてみたけどいわゆってませんでした。ぬう、正直意外だ。