シックスゲイツ入れ替わりメモ

シックスゲイツとはワンマン経営者ラオモト・カンに率いられる暗黒経済組織ソウカイ・シンジケート(ソウカイヤ)の威力部門であり、またそのトップである六人のエリート戦士を指す言葉でもあります。
ニンジャスレイヤー第一部における主要な敵であるシックスゲイツは、第二部におけるザイバツ・マスター位階が指揮能力やハイク・ワビチャのワザマエなどを総合して選出されていたのに対し、ラオモト・カンの手駒としての任務遂行能力と実績のみを評価して選ばれた存在であるようです。また、トップの六人は定員制であり、欠員がでると新メンバーが補充されます。
戦闘力的にはみな中くらいの強さで、ほぼ全員人格的には最低なんですが、エリート戦士団としての自負心は非常に強く、任務遂行にあたって時に凄まじい意地と執念を見せます。悪役として極めて魅力的なキャラクターたちです。

シックスゲイツの六人だったのは誰か

シックスゲイツと言う単語は、ソウカイヤの威力部門シックスゲイツとそのトップであるエリート戦士シックスゲイツの六人のどちらの意味でもありえます。
そのため名鑑などにシックスゲイツのニンジャと記述されているだけでは、シックスゲイツの六人のうちのひとりなのかはよくわかりません。
六人かどうかの当落線上にいたインフェクションとプロミネンスは、ザ・ヴァーティゴさんの言によってどうやら六人ではないっぽいということになりました。


質問に答えてくれるフランクなニンジャのザ・ヴァーティゴさんは原作者そのものではないですがそれに近い立場であり、インフェクションとプロミネンスは実力的にも同時期のシックスゲイツの六人に対してやや劣るので除外してしまってもいいだろうと思います。インフェクションはけっこう好きなので残念ですが。


それを踏まえると現在判明しているシックスゲイツの六人(である可能性が高い)ニンジャは、ゲイトキーパー・インターラプタービホルダー・アースクエイク・コッカトリス・バンディット・ヒュージシュリケンダイダロスガーゴイル・ヘルカイト・ウォーロック・ナイトシェイド・クイックシルヴァー・フロストバイト・ソニックブーム・サボター・アルマジロ・ウォーターボード・レイザーエッジ・デビルフィッシュ・モービッドの21人。加えて「リボルバー・アンド・ヌンチャク」で言及されていた詳細不明のシックスゲイツが存在が確定しています。
上記のうち、第一部最終話「ネオサイタマ・イン・フレイム」時点の六人はゲイトキーパー・ヘルカイト・アルマジロ・ウォーターボード・レイザーエッジ・デビルフィッシュ。
一方、第一部でも比較的初期のエピソードである「レイジ・アゲンスト・トーフ」でのビホルダーの自白から、バンディット・アースクエイク・ヒュージシュリケン・ヘルカイト・ダイダロスがその時点で六人の一人であったことがわかります。
また、書籍版の第9巻「ピストルカラテ決死拳」の質問コーナーでシックスゲイツのメンバーとして、創設時からシックスゲイツのひとりだったゲイトキーパー、かなり初期からいたアースクエイク・インターラプタービホルダー、創設時にはいなかったヒュージシュリケン・バンディット、結構後から入ってきたダイダロスガーゴイルの名前が挙げられています。
さて、名鑑に“シックスゲイツのニンジャ”とあった場合は六人かどうかの判定は困難ですが、“シックスゲイツの一人”という記述であれば六人のひとりと言う意味にとって問題ないと思われます。ビホルダーとフロストバイトはTwitter版名鑑に、サボターは書籍版名鑑にシックスゲイツの一人であると記されています。
フロストバイトは、書籍版15巻『ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ(上)』の質問コーナーにて冬季のみシックスゲイツの地位にあった季節性ニンジャであり、登場エピソード以前の時期にも一度シックスゲイツであったことがあるという事が明らかになっており、この点からもシックスゲイツの一人であったことは間違いありません。
ガーゴイルは「サプライズド・ドージョー」にて、かつてシックスゲイツのナンバー6であり、その死後にヘルカイトが代わって六人に昇格したと回想されています。
またウォーロックは、「フィスト・フィルド・ウィズ・リグレット・アンド・オハギ」にて、(ドラゴン・ドージョーやニンジャスレイヤーとの戦いにより)大量欠員が出た際に自分がシックスゲイツに昇格したと語っています。
クイックシルヴァーは「ガイデッド・バイ・マサシ」におけるフジキドの「奴はソウカイ・シックスゲイツのクイックシルヴァーだ」という発言や、“いかなクイックシルヴァーがソウカイ・シックスゲイツのニンジャであろうと〜”という述懐からして六人と考えて良いでしょう。
ゾンビーニンジャのモービッドは「ネオサイタマ・イン・フレイム」でのニンジャスレイヤーとの決戦に投入されるはずだったものの、不安定すぎて結局外されたらしいです。モービッドはインフレイムにおいては、シックスゲイツの守るフロアを抜けた先に、“シックスゲイツ・モービッド”などと書かれたザゼン数式に囲まれながら天井に吊るされていただけでしたが、後に「ゼア・イズ・ア・ライト」にて地の文がシックスゲイツとしてモービッドの名に触れており、シックスゲイツの六人に数えても良いと思います。
ソニックブームはソウカイ・シックスゲイツのニンジャと名乗っており、また書籍版「ラスト・ガール・スタンディング」ではソニブの特徴を調べ上げたメモに『シックスゲイツ』という説明がありますが、これだけではシックスゲイツの六人の一人であるかどうかは確定しません。
「ア・カインド・オブ・サツバツ・ナイト」にて、レオパルドをスカウトした野良ニンジャ抹殺チームのうちtwitter版では2人、書籍版では1人がシックスゲイツであったとされています。この場面ではシックスゲイツは格の違うニンジャとして扱われており、シックスゲイツの六人のことであると思われます。この時のニンジャは、少なくともtwitter版では、ソウカイヤのスカウト部門にいたソニックブームであると思われます。
しかし書籍版では、ソニックブームが登場した「ラスト・ガール・スタンディング」の時系列がフジキドが“ソウカイヤと戦い始めてまもなくの頃”へと大きく変更されています。この場合に考えられる可能性としては、①「レイジ・アゲンスト・トーフ」や「サプライズド・ドージョー」での大量殉職を受けてシックスゲイツに昇格したが早いうちに(ナイトシェイドやコッカトリスと同時期に)フジキドに殺害された、②トーフ・ドージョー以前に(そしてマルノウチ抗争後に)シックスゲイツに昇格したもののフジキドに殺害され、その後をダイダロスもしくはガーゴイルが継いだ、③書籍版ソニックブームはシックスゲイツの六人のひとりではなく、レオパルドのスカウトに来たシックスゲイツは別のニンジャ(twitter版ではスカウトにやってきたシックスゲイツは2名なのでその片割れ?)、の3つが考えられるかと思います。
コッカトリスも当落線上にいるシックスゲイツですが、「デッドムーン・オン・ザ・レッドスカイ」でのリー先生とはどんな人物かという説明に“彼はヨロシサン製薬からソウカイヤに派遣された科学者であり、シックスゲイツの肉体改造や重傷者の治療、および口に出すのもはばかられる数々の違法実験についての責任者を任されていた”とあり、この肉体改造されたシックスゲイツがコッカトリスに当たるものと思われます。また傍証ではありますが、コッカトリスはプロト版ニンジャスレイヤーにおけるシックスゲイツのひとりでもあります。
コッカトリスは、ソウカイヤを足抜けしたインターラプターと、「フィスト・フィルド・ウィズ・リグレット・アンド・オハギ」時点で新任のウォーロックの両方から高く評価されていましたが、『レイジ・アゲンスト・トーフ』時点の六人には名を連ねていません。モウドク・ダートの使い手としてインターラプターの同僚であった時期と、マルノウチ抗争で負傷した両腕をダイジャに置換してウォーロックの同僚であった時期の両方でシックスゲイツの一人だったのか、あるいは片方の時期だけなのかどうかは完全には確定しませんが、「ベイン・オブ・サーペント」のN-FILESにおいてシックスゲイツ級のニンジャと明記してもらえなかったあたり、両腕が蛇の時期のコッカトリスは六人には含まれていなかった可能性の方が高いのではないかと思います。

第一部のエピソードの偏りについて

シックスゲイツの歴史を追いかける前に押さえておきたいこととして、ニンジャスレイヤー第一部のエピソードの配置には意外とムラがあるという点があります。
ニンジャスレイヤー第一部は、マルノウチ抗争のあったクリスマスの夜の「ボーン・イン・レッド・ブラック」「バック・イン・ブラック」にはじまり、ブブジマの撃墜やガーゴイルの謀殺をはさみつつ、マルノウチ抗争から数ヵ月後に「レイジ・アゲンスト・トーフ」があります。
「ネオヤクザ・フォー・セル」「レイジ・アゲンスト・トーフ」「サプライズド・ドージョー」「ジ・アフターマス」「アトロシティ・イン・ネオサイタマシティ」は時間的に連続して存在するエピソード群となっています。
その後はフジキドとナンシー・リーとの出会いとタケウチの特効アンプル探索編のエピソード群がしばらく続き、その結末としての「ワン・ミニット・ビフォア・ザ・タヌキ」から「ゼロ・トレラント・サンスイ」「メナス・オブ・ダークニンジャ」「フィスト・フィルド・ウィズ・リグレット・アンド・オハギ」「チャブドメイン・カーネイジ」も連続したエピソードとなっています。
その後しばらくフジキドはユカノの行方を追ってイッキ・ウチコワシと関わりを持っていくことになり、一方ソウカイヤでは一時昏睡状態にあったダークニンジャが職場に復帰、両者は「フジ・サン・ライジング」で再び同じ物語のなかに合流し、「メリー・クリスマス・ネオサイタマ」にてニンジャスレイヤーの戦いの1年目が終わります。
第一部2年目前半はエピソードの密度が極めて粗くなります。おそらく「オウガ・ザ・コールド・スティール」や「ガイデッド・バイ・マサシ」はこの時期に当たると思われますが、連続的な物語は見出しにくいです。
2年目の秋に入ると、「ア・カインド・オブ・サツバツナイト」やゾンビーニンジャ誕生にまつわるエピソード、twitter版「ラスト・ガール・スタンディング」といったエピソードが続き、年末の「バイオテック・イズ・チュパカブラ」「ストレンジャーストレンジャー・ザン・フィクション」「ネオサイタマ・イン・フレイム」にて第一部が完結します。
2年と少しにわたる第一部のなかには、なん度かエピソード密度の粗い時期がありますが、とくに2年目前半は何をやっているかわからない時期が長期にわたって続いています。

初期シックスゲイツ

「レイジ・アゲンスト・トーフ」「サプライズド・ドージョー」以前と以後ではシックスゲイツの六人の顔ぶれやその雰囲気が大きく変わっており、ドージョー以前のメンバーはニンジャヘッズから初期シックスと呼ばれることが多いです。
『ピストルカラテ決死拳』254ページでソウカイヤ創設時のメンバーを尋ねられたザ・ヴァーティゴさんが以下のように答えています。

ダイダロスガーゴイルはいなかったな。あいつらは結構あとから入ってきた方だ。ヒュージシュリケンやバンディットもいない。創設時は、ゲイトキーパーがシックスゲイツの一人だった。アースクエイク、インターラプタービホルダー辺りが、かなり初期からいたって言われているけど、創設時にいたかどうかは俺は知らないなあ。

シックスゲイツの創設者はゲイトキーパーであり、「ネオサイタマ・イン・フレイム」時点ではシックスゲイツのまとめ役という立場についている彼も、創設時には六人のひとりであったそうです。
ヒュージシュリケンとバンディット、くだってダイダロスガーゴイルが加入する際に代替わりしたメンバーとして、現場を離れたゲイトキーパー、ソウカイヤを抜けたインターラプター、負傷したコッカトリス、季節性シックスのフロストバイトが考えられますが、それ以外にも未知のシックスゲイツが存在した可能性はあります。


シックスゲイツのそもそもの語源は、太古のバトル・オブ・ムーホンでニンジャの祖カツ・ワンソーに反旗を翻したワンソーの弟子ハトリ・ニンジャの、その配下であった六人の強大なニンジャ“ニンジャ六騎士”です。
とするとゲイトキーパーが六人のひとりであった時期はラオモト・カンがハトリ・ニンジャに相当し、ネオサイタマの既存の支配体制に切り込んでいくバトル・オブ・ムーホンの時代といえます。そしてゲイトキーパーが六人のひとりを外れて裏方に回って以降はゲイトキーパーがハトリに、そしてニンジャを超えたニンジャ…即ちヌンジャを目指すラオモト・カンがカツ・ワンソーになぞらえられる事になり、すなわち神話の時代以来の強固な支配体制であると言う表明になっていたのではないでしょうか。
ラオモト・カンは7つのニンジャソウルをその身に宿していますが、そのうちのコブラとビッグは初期シックスのビホルダーとアースクエイクが持っていたのと同じ系統のソウルであり、もしかしたらラオモトの他のソウルも初期のシックスの死亡済みメンバーやソウカイヤのかつての抗争相手などに同じ系統のソウル保持者がいて、そのソウルの強力さを証明していたのかもしれません。
シックスゲイツの創設者ゲイトキーパーは「ネオサイタマ・イン・フレイム」でラオモトの清濁併せ呑む大器こそが、ネオサイタマの混迷と増加するニンジャソウル憑依者を統治するために必要であると語っており、そうした混沌とした社会情勢全体のバックグラウンドとして、既存の国際秩序の崩壊とニンジャソウル憑依現象の加速の引き金となったY2Kと、その後に長く続いた電子戦争が存在するのでしょう。
ニンジャスレイヤーの物語の中で描かれるドラッグの蔓延やサイバネティクス技術の高度な発展は、ネオサイタマ社会における電子戦争の強い影響を感じさせます。
第一部前半に登場するソウカイ・ニンジャの中には電子戦争時代の描写のあるミニットマンとイクエイションや、ギリースーツに身を包んだガントレットとセンチピードのような従軍経験のありそうなニンジャが散見されます。そこから考えてみるに初期ソウカイヤとシックスゲイツは単に武闘派のヤクザというわけではなく、電子戦争終結後の軍人くずれを抱えこんだむちゃくちゃ戦闘的な集団だったのではないでしょうか。
またネオサイタマ湾岸防衛隊の黒幕であるハーヴェスターも電子戦争と深く関係したニンジャだと思われますが、ハーヴェスターは幼い頃のラオモト・チバと会っているなどソウカイヤと親しい付き合いがあったようで、インターラプターの兄弟弟子であるインターセプターを配下にしているところなども興味深く、あるいはソウカイヤと湾岸防衛隊は電子戦争終結後の社会混乱のリスク要因を半分こに吸収した双子のような存在だったのかもしれません。
戦闘集団としてのシックスゲイツという話で言えば、初期シックスのなかでは特筆して弱いバンディットの肩書きが“斥候”です。作中の描写ではバンディットは雨の中を雨に濡れずに走れるようで、これは密書を運ぶ時に役に立つ技能ではあるでしょうけれど、そのほかにも戦場における斥候役としていろんな 特殊な技能を有していたのかもしれませんね。RPGで例えてみると、バンディットをパーティーに加えておくと移動速度やエンカウント率、アイテム拾得率が変化する、といったような。
また、Twitter版ドージョーでアースクエイクが同じ作戦にシックスゲイツが3人投入されることを普通ではないこととして捉えており、シックスゲイツは基本的には単独で運用されるものであるようです。
とはいえ、初期シックスには前衛っぽいニンジャとしてカラダチとタタミケンの使い手で攻守ともに優れるラプター、頑強さを活かして司令塔の役割を果たすアース、後衛っぽいニンジャとしてやはり指揮能力が高くかつイビル・アイ持ちのビホルダー、範囲攻撃のヒュージ、ドク・ジツのマスタリーであるコッカトリス、オプションで前述のバンディットがおり、コッカトリスがある程度回復もこなせればパーティーとして完璧な布陣な気がするので、6人が同時投入されるところも見てみたいですね。


さて、シックスゲイツの創設者にしてまとめ役ゲイトキーパーは文武両道に秀で、直接的な戦闘のワザマエもすごい一方、ザイバツ・シャドーギルドのヴィジランスによるネオサイタマへの経済攻撃を防いでいたのもゲイトキーパーらであるそうです。当然ゲイトキーパーの補佐にはダイダロスがついていたことでしょう。
ゲイトキーパーが現場を離れて組織の運営に専念できるようになったのがいつ頃なのかはよくわからないですが、超有能なエージェントであるダークニンジャを得たことが大きい気がします。とはいえ、フジオを拾う幸運がなくてもいずれは他のシックスや弟子のドミナントに現場を任せて裏方に回ったことでしょう。マルノウチ抗争直後のエピソードである「バック・イン・ブラック」でダークニンジャと顔を合わせるのが久々、という描写があるあたり、マルノウチ抗争の時点では既に現場を離れていたのでしょう。
またインターラプターはダークニンジャの抜きん出た実力を知っていたので、精神的に追い詰められたラプターがソウカイヤを抜けたのはダークニンジャ加入後となります。
では、マルノウチ抗争時点のシックスゲイツの六人はどういったラインナップとなるでしょうか。まずは、初期からシックスゲイツの六人に名を連ね、マルノウチ抗争後のエピソードでニンジャスレイヤーに殺害されたアースクエイクとビホルダーが確定します。このふたりはザイバツ側の実質的指揮官であったデスナイトも「マーメイド・フロム・ブラック・ウォーター」で高く買っていました。
マルノウチ抗争に参加していることは確定しているものの、その時点で六人だったかどうかが未確定なのがヒュージシュリケン・コッカトリス・インターラプターです。ヒュージシュリケンとコッカトリスはそれぞれ「サプライズド・ドージョー」と「ベイン・オブ・サーペント」のN-FILESにおいて、インターラプターは書籍版第17巻「開戦前夜ネオサイタマ」の質問コーナーにてマルノウチ抗争への参加が触れられています。とはいえ、このうちヒュージシュリケン(およびヒュージと昇格時期の近そうなバンディット)がマルノウチ抗争後に六人に昇格したというのは、その後に更にダイダロスガーゴイルの昇格がある事を考えるとスケジュールに無理があり、やはりヒュージはマルノウチ抗争時点で六人の一人だったと考えるのが自然でしょう。コッカトリスは当落線上にいるシックスゲイツですが、六人のひとりであったのであれば、マルノウチ抗争にも六人の一人として参加したのでしょう。逆にインターラプターはかつてシックスゲイツ最強のニンジャでしたが、「サプライズド・ドージョー」のN-FILESにおいてマルノウチ抗争時点ではアースクエイクがシックスゲイツ随一のカラテの持ち主とされており、これを踏まえるとインターラプターはマルノウチ抗争時点ではゲイトキーパーのように別の役職に就いていたか、あるいは既にソウカイヤを退職したインターラプターがたまたまマルノウチ抗争に巻き込まれたかのどちらかの可能性が高いのではないかと思います。
既知のニンジャで他にマルノウチ抗争時点でシックスゲイツの六人であった可能性があるのは、マルノウチ抗争が12月であることから季節性シックスゲイツであるフロストバイトがまず挙げられます。またダイダロスガーゴイルも、六人への昇格がマルノウチ抗争以前であった場合、六人としてマルノウチ抗争に参加していたことになります。ただ、戦闘者というよりは監視者であるダイダロスガーゴイルはマルノウチ抗争後に昇格した方が流れとして自然であるようには思います。
現状の材料ではアースクエイク・ビホルダー・ヒュージシュリケン・バンディット・コッカトリス・フロストバイトがマルノウチ抗争時点でシックスゲイツの六人だったのではないかと思いますが、とは言えまったく未知のシックスゲイツがいた可能性もありますし、既知のソウカイニンジャズでもこれまで記述がないだけで実は六人のひとりだったりする奴がいるかもしれません。またそもそも、その時点で六人であろうとなかろうと後にシックスゲイツに昇格できるようなニンジャはマルノウチ抗争では大いに活躍したことでしょう。
ビホルダーとコッカトリスはマルノウチ抗争で重傷を負いました。半身不随でも普通にシックスとして働いているビホルダーすごいですね。
抗争集結後にザイバツとの不可侵条約が結ばれ、またその犠牲者の中からニンジャスレイヤーが誕生する事となりました。
ニンジャスレイヤーとなったフジキド・ケンジはマルノウチ抗争(クリスマス)から七日間にわたって暴走し、ソウカイヤのニンジャをつぎつぎに殺害。有望な新人だったドミナントもここで死亡。
「レイジ・アゲンスト・トーフ」までの数ヶ月の間にガーゴイルが、ヘルカイトに事故死に見せかけて謀殺されます。ニンジャスレイヤーも関わっている模様。ヘルカイトはこの際にガーゴイルの後を受けて六人に昇格。
「ネオヤクザ・フォー・セル」「レイジ・アゲンスト・トーフ」「サプライズド・ドージョー」「ジ・アフターマス」「アトロシティ・イン・ネオサイタマシティ」はほとんど間を開けない連続したエピソード。
前述のとおりトーフ時点でのシックスゲイツの六人はビホルダー・アースクエイク・ヒュージシュリケン・バンディット・ダイダロス・ヘルカイト。
トーフでまずバンディットが消息を絶ち、さらにビホルダーも死亡。ドージョーでアースクエイクとヒュージシュリケンが爆炎に消えます。
アースクエイクでダメなら戦術核という判断はアースクエイクの能力がそれだけ評価されていたと言うことでしょうか。
ちなみに、アースクエイクとヒュージシュリケン、スキャッターとオフェンダー、ラバーダックとスクワッシャー、ガントレットとセンチピード、ミニットマンとイクエイション、インフェクションとヴィトリオール、オブリヴィオンとナインフィンガーみたいなツーマンセルでの作戦行動がソウカイヤでは散見されるのですが、場合によっては機動力や索敵能力の高いニンジャを3人目として加えたスリーマンセルを組むこともあります。アースとヒュージや、ラバーダックとスクワッシャーにヘルカイトが、スキャッターとオフェンダーにミュルミドンがついてたような感じですね。むしろこちらのほうが正規の編成なのかもしれません。とすると、ホースバックとヌーズマンのシンカンセン襲撃隊にももうひとり後詰のメンバーがいた可能性もありますね。
アフターマスのセンチピード&ガントレットのコンビはアースとヒュージの後任のシックスゲイツの座を狙っていたが果たせませんでした。ちなみにちょっと異常にサイバネ強度の高いセンチピードと脳改造スナイパーのガントレットは電子戦争の遺物って感じがします。

中期シックスゲイツ

マルノウチ抗争から数ヵ月後に起きた「ネオヤクザ・フォー・セル」「レイジ・アゲンスト・トーフ」「サプライズド・ドージョー」「ジ・アフターマス」の一連のエピソードの後、ニンジャスレイヤーは「アトロシティ・イン・ネオサイタマシティ」でネオサイタマへ帰還、新たな協力者となったジャーナリストのナンシー・リーと共にゲンドーソーの命を救うための解毒アンプル探索に奔走することになります。
その解毒アンプルをついに手に入れる「ワン・ミニット・ビフォア・ザ・タヌキ」から、「ゼロ・トレラント・サンスイ」「メナス・オブ・ダークニンジャ」「フィスト・フィルド・ウィズ・リグレット・アンド・オハギ」「チャブドメイン・カーネイジ」までのエピソードは、やはりほとんど間をおかずに連続して起こった出来事であり、第一部エピソードの時期的な配置には意外と波があります。
その後は、行方不明となっていたユカノの情報を「チャブドメイン〜」で得たフジキドが、記憶喪失となったユカノが身を寄せていたイッキ・ウチコワシと関わっていくエピソードが続く一方で、ウォーロックの暗躍とダークニンジャの回復が「コンスピーラシィ・アポン・ザ・ブロークン・ブレイド」で描かれ、「フジ・サン・ライジング」あたりでニンジャスレイヤーとソウカイヤとの戦いが再開される事となります。
トーフとドージョーで4人の欠員を出した後に発足したシックスゲイツの新体制は、初期シックスから引き続きシックスゲイツの六人の地位にあるダイダロスとヘルカイト、大量欠員後に昇格したと言うウォーロック、アンプル探索編の割り合い初期のうちに殺害されているコッカトリス・ナイトシェイドの5人に、ソニックブーム・サボター・フロストバイト・クイックシルヴァー・詳細不明だが「リボルヴァー・アンド・ヌンチャク」で言及されたシックスゲイツのうちの誰か一人を加えたメンバーであると思われます。
ただしソニックブームは書籍時空ではドージョー以前にすでに戦死している可能性があります。また季節性のシックスゲイツであるフロストバイトがこの時期に再昇格するとは考えづらいです。クイックシルヴァーはダークニンジャと共に同じ死線を潜った事もあり、比較的古株のニンジャであるようですね。サボターは、その突き抜けた態度の悪さや日本語が不得意な点、戦果の報告をラオモト・カンにではなくダークニンジャに届けると発言している点からして古参とは思い難く、比較的後になってからシックスゲイツに参加したニンジャなのではないでしょうか。


中期シックスは戦闘部隊だった初期シックスと違い、ネットセキュリティのダイダロス、新戦力スカウトのソニックブーム、要人暗殺のフロストバイト、古美術品盗掘のクイックシルヴァーといった具合にそれぞれが違った専門分野を任されているのが特徴となっています。
とくにヤバイ級ハッカーでネットセキュリティ担当のダイダロス、情報収集と現場指揮に高い能力を発揮するヘルカイト、特殊な念力によりソウカイヤ全ニンジャの居場所を把握しているウォーロック、ニュービーのスカウトとトレーニングで組織を支えたソニックブームあたりはニンジャを管理するためのニンジャたちであり、ソウカイヤ威力部門からネオサイタマ裏社会の統治組織へのシックスゲイツの変質を感じさせます。古美術品の蒐集だってラオモトの権威づけのためともいえますし。シックスゲイツの6人は若手の幹部候補として日々凌ぎを削っていたことでしょう。
第一部中盤戦で複数エピソードに登場し大きな存在感を発揮しているのがダイダロスです。
「ベイン・オブ・サーペント」でハッカーのホゼを捕捉したのもたぶんダイダロスですし、「ユーレイ・ダンシング・オン・コンクリート・ハカバ」ではナンシーが拘束される寸前でした。「ワン・ミニット・ビフォア・ザ・タヌキ」での電脳戦はナンシーとフジキドに破れたダイダロスでしたが、その後の「チャブドメイン・カーネイジ」でも情報屋のマイニチを泳がせてフジキドを罠にはめており、つまり第一部中盤はずーっとダイダロスと戦っていたのだと言えます。第一部に孤独な戦いって印象がある理由として、ゲンドーソーがダークニンジャに、ホゼとマイニチがダイダロスに殺されてるからってのはかなり大きいです。


以下中期シックスの歴史。
ザイバツとの停戦、ドラゴン・ドージョーとの戦いの勝利をうけて、シックスゲイツ温泉旅行が催されます。ウォーロックはボーナス査定や温泉旅行にも気を配るラオモトを素晴らしい統治者と評していました。
しかしコミカライズ担当の余湖先生のツイート(https://twitter.com/YOGOYUKI/status/509499548683608064)によると、この時の温泉旅行は仲間の死や新しいシックスゲイツの六人の候補者たちの駆け引きで剣呑なアトモスフィアだったとのこと。シックスゲイツ新体制発足は温泉旅行中もしくはネオサイタマ帰還後であるようです。
ドラゴン・ドージョーでの戦いで死んだと思われていたニンジャスレイヤーが再び現れ、コッカトリスを殺害。割とあっさり負けたけど必殺の体勢まではもってってるんですよね、コッカトリス。フジキドのワッショイが常識はずれなだけで。
コッカトリス戦との前後関係は不明ですが、やはりアンプル探索編の初期にナイトシェイド戦。この時点ではまだナンシーとの共闘関係が成立しておらず、またダイダロスも存命なためソウカイヤのセキュリティは堅固なはずですが、ナイトシェイドは個人的に料亭の4階をトラップ屋敷に改築しており、そこから足が着いたのでしょう。
ナイトシェイドはシュギ・ジキのトラップ部屋の考案者ですが、それだけでシックスゲイツの地位に就ける気はあまりしないので、あるいはトコロザワ・ピラーのトラップアスレチックや、ヘルカイト・ウォーロックのシックスゲイツ専用ルームの設計を行ったのもナイトシェイドだったのかもしれません。
しばらく間を置いてダイダロス戦。ダイダロスはナンシーとニンジャスレイヤーのタッグに電脳戦で敗れるが、致命的なダメージではなかったようでその後「チャブドメイン・カーネイジ」にて任務に復帰している描写があります。
ダイダロス戦からほとんど間を置かずに、ダークニンジャがニンジャスレイヤーおよびドラゴン・ゲンドーソーと交戦。ゲンドーソーは爆発四散するもののダークニンジャも一時昏睡状態に陥ることになりました。
ラオモトにとってもダークニンジャの敗北はさすがに衝撃だったようで、ウォーロックを派遣してインターラプターに職場復帰を促します。
しかしウォーロックが功を焦ってブランクのあるラプターをニンジャスレイヤーにぶつけて死なせてしまい、ラオモトを激怒させたらしいです。このことがウォーロックのその後の策謀の動機になったのかもしれません。
「チャブドメイン・カーネイジ」以降のどこかの時点でダイダロスが廃人に。ただ、ダイダロスが廃人になった時期はtwitter版では「ストレンジャーストレンジャー・ザン・フィクション」の半年前とされていましたが、書籍版ではその記述は削除されていました。「チャブドメイン〜」でもダイダロスは間接的に言及されるのみでしたので、タヌキの戦いの時点で既に再起不能であった可能性も無くは無いですね。
ダイダロスを廃人に追い込んで以降ナンシーは電脳戦でソウカイヤを上回れるようになり、特にクイックシルヴァーは戦う前から面が割れていました。また監視者がいなくなったのをいいことにウォーロックも陰謀を巡らせます。
「フィスト・フィルド・ウィズ・リグレット・アンド・オハギ」と「フジ・サン・ライジング」の間のどこかでダークニンジャが職場に復帰。ソウカイヤ内の不満分子の陰でウォーロックが暗躍。
「フジ・サン・ライジング」にてサボター死亡。
マルノウチ抗争からちょうど1年たったクリスマスに「メリー・クリスマス・ネオサイタマ」でフロストバイト戦。
フロストバイトの暗殺プロトコルは第三部になっても暗殺ニンジャたちに受け継がれており、フロストバイトも六人のひとりとして単なる暗殺者として以上の職務を組織の中で果たしていたのかもしれません。
「ガイデッド・バイ・マサシ」にてクイックシルヴァー死亡。
「オウガ・ザ・コールド・スティール」にて初代モータードクロがロールアウト。ラオモトがわざわざ開発に参加しており、損耗したニンジャ戦力の補填は急務だったのでしょう。


「ガイデッド〜」と「オウガ〜」の時期が「メリー・クリスマス〜」以降であるという明確な根拠はありません。しかしこの2エピソードが無いと第一部2年目の年始〜夏の終わりまでが本当に空疎になってしまいます。「ガイデッド・バイ・マサシ」は単行本未収録ですが、このエピソードで出てきたミヤモト・マサシの遺産の話は全然回収されておらず、第一部2年目前半にマサシの遺産絡みの連続するエピソードが埋まっている可能性はあると思います。その他、ダイダロスとの再戦やウォーロックの策謀がらみの未翻訳エピソードが存在するかもしれません。
もちろん、未知のシックスゲイツのニンジャの存在もありえます。確定的なのは第三部の「リボルバー・アンド・ヌンチャク」で言及されたシックスゲイツで、このエピソードの2年前にフジキドがシックスゲイツを追跡していたことが回想されていますが、描写に該当するシックスゲイツがいないため未登場のシックスゲイツの六人がいるものと考えられます。時期的には「メリー・クリスマス・ネオサイタマ」以降ですが、それ以上はよくわかりません。


第二部2年目の秋、ゾンビー・ニンジャ第一号レベナント誕生。ニンジャ真実の解明とラオモトの不死化の研究のための副産物ではありますが、シックスゲイツの平均点の低下を補うものとしても歓迎されたでしょう。なおこの一件がらみでヘルカイトが減俸。
twitter版のソニックブーム戦は「ネクロマンティック・フィードバック」の後なのでこの辺。ソニックブームはスカウト担当でしたが、INWにアーチ・ソウルのゾンビが山ほどいるのはソニブが跳ねっ返りのニュービー・アーチをバンバンINW送りにしたからかもしれないですね。第二部でのアイボリーイーグル対ディテクティブの戦いなんかを思い起こすと、何が出てくるかわからないニュービー・アーチを相手にするのはかなりの危険を伴うようですが、中距離から押しつぶせるソニックカラテはこの職務に向いていたのでしょう。
また、通路の進行方向にソニックカラテの使い手がたち塞がっている状況のめんどくささを考えると、「ネオサイタマ・イン・フレイム」以前にソニブを始末できていたのはフジキドにとって僥倖だったのではないでしょうか。


第一部最終盤。フジキドとナンシーのラオモト襲撃計画が思いもよらぬ偶然の連鎖からウォーロックの知るところとなり、計画を乗っとったウォーロックはザイバツヌケニンであるバジリスクやソウカイヤ内の不満分子とともにラオモト襲撃を実行するが失敗。ウォーロックはダークニンジャ(書籍版ではゲイトキーパー)の手により誅殺されます。
そして物語は最終決戦「ネオサイタマ・イン・フレイム」へ。

末期シックスゲイツ

ソウカイヤとニンジャスレイヤーの最終決戦では、シックスゲイツの6人はトコロザワ・ピラーの専用ルームにてニンジャスレイヤーを待ち構えていました。蘇生直後のモービッドが不安定すぎて使えなかったため、シックスゲイツ第六の間にはゲイトキーパーが。これによりシックスゲイツ最後の6人はゲイトキーパー・ヘルカイト・アルマジロ・ウォーターボード・レイザーエッジ・デビルフィッシュとなります。
第六の間にゲイトキーパー、第五の間にヘルカイトがいたことを考えると加入順でしょうか?ウォーターボードがレイザーエッジとデビルフィッシュをニュービー扱いしてましたし。
あるいはウォーロック誅殺がインフレイムの前日であることを考えるとゲイトキーパーがいた部屋が本来ウォーロックの専用ルームなのかもしれません。一本道を渡りきるまでの間に思念攻撃をしまくる、といったような。


ちなみに、アルマジロが比較的早くシックスゲイツの六人に昇格したとすると、その時期はいつになるでしょうか。
既知のシックスゲイツのみで考えた場合、ヘルカイト・ウォーロックtwitterソニックブーム・「リボルバー〜」で言及されたシックスゲイツ・死亡時期はやや未確定ながらクイックシルヴァーに、アルマジロが新たに加わったと考えると、遅くとも「メリー・クリスマス・ネオサイタマ」後にはもうアルマジロがシックスゲイツの一角を占めていたことになります。おそらく彼ら以外にもシックスゲイツの六人はいただろうとは思いますが、それにしても意外な程に時期が早く、ニンジャ戦力の補填は急務だっただろうなあという感想が強いです。


アルマジロ・ウォーターボード・レイザーエッジ・デビルフィッシュの4人はカラテの練度では他のシックスゲイツには劣るものと描写されています。
また、それぞれの専門分野のための高度な技能を持つ幹部候補だった中期シックスがつぎつぎと敗死し、それをかたちばかり穴埋めしたとしてもシックスゲイツの六人という役職自体の価値の低下は避けられなかったでしょう。
ただ、カラテの練度で劣っていたとしてもサイバネティクスの性能も含めた総合的な戦闘力としてなら末期シックスもシックスゲイツ級のニンジャとしての最低限はクリアしてたのではないかとも思います。
末期シックス並みに大胆な改造を施されたニンジャってほとんどいなくて、オムラインダストリの決戦兵器ネブカドネザルと電子戦争の遺したオーパーツなんじゃないかと思えるセンチピード、それにディスメンバメント・ソーサラーデュラハンといったバラバラ・ニンジャ・クラン(仮)のひとたち以外だと、あとはたぶん末期シックスと同世代のワイアードブラックウィドウだけです。
末期シックスは多分に実験的な存在で、おそらくコスト面の難などから結局腕部や脚部だけのサイバネがベストってことに落ち着いたのでしょう。
なおワイアードの磁力サイバネは後にメタルベインがその改善版を使用していました。また第三部のネオサイタマではワイバーンやアナンタの柔軟脊椎バイオサイバネがちょっと流行ってるようですけど、これはコッカトリスの腕やマンティコアの尻尾の改造ノウハウがリー先生経由で持ち込まれたものなんじゃないでしょうか。
デビルフィッシュの改造はイカ・ニンジャ・クランのソウルの本来の姿を背中にスシ・アーム6本を移植することによって再現しようとする非常に理にかなったものです。
レイザーエッジのサイバネ強度はネブカドネザルに次ぎセンチピードに並ぶレベルの凄まじいもので、全身から刃が飛び出す機構はセンチピードの多足展開ギミックを参照したものなのではないでしょうか。
水中戦に機能特化したウォーターボードはフーリンカザンを強いてフジキドを苦しめましたし、戦績からは擁護し難いアルマジロも装甲ニンジャ装束ではなく装甲サイバネでもはや鎧を脱いだりできないという大胆さは評価できます。それまでに登場した高耐久ニンジャだと鎧を引き剥がされて死んだスクワッシャーや、ムテキ中は移動できない弱点をつかれてワンインチ距離で死ぬまでチョップされて死んだアイアンヴァイスなどがおり、その改善版として装甲サイバネで高耐久・高機動のアルマジロがデザインされたのかもしれません。
INWのゾンビーニンジャがアーチソウル持ちだらけなこともあわせて考えると、第一部後半のソウカイヤの戦略とは、アーチソウル持ちはバンバンINW送りにしてゾンビにソウルを移し変え従順な手ごまにし、いっぽう中堅ニンジャの戦力をサイバネで底上げするメソッドを確立すべく、サイバネニンジャの積極的な開発と登用を行なうというものだったのではないでしょうか。


また、末期シックスゲイツの質の低下は確かですけれど、ソウカイヤ全体では他にも強力なニンジャはまだまだ存在しました。メギンギョルズなんかはきかん気が強くて重要ポジションにはとても付けられそうもないタイプですけど、ネオサイタマ外へ派遣されていたキョート潜伏班のダストスパイダーやシンカンセン襲撃隊のホースバックはシックスゲイツでもおかしくない実力の持ち主。あとはドサンコ派遣組のベアハンターやラオモトのボディーガード役のスパイダーもそこそこのニンジャだったんじゃないでしょうか。アーチソウル持ちのフューネラルもソウカイ系のニンジャらしいんですけど、こいつはいつから居るのかも何やってたのかも謎。第一部に登場しないってことはやはりネオサイタマ外での職務についてたのでしょうか。ザイバツとソウカイヤとの不可侵条約について言及しており、もしかしたらその辺の折衝役だったりしたのかもしれません。
くわえて、ネヴァーモアやディスエイブラーのようなソウカイヤ崩壊時にまだニュービーだったがその後頭角を現したニンジャもいますし、なによりソウカイヤと協力関係にあったオムラやソウカイヤの一部門だったINWがソウカイヤ崩壊から半年以内にそれぞれネブカドネザルとナックラヴィーという超戦力を実戦投入しており、ソウカイヤは長期的には全然弱体化していなかったことがわかります。もちろん短期的には弱体化してますし、それはラオモトとゲイトキーパーの予想を超えたものであったでしょうけれど。
シックスゲイツの六人の質の低下はシックスゲイツの組織全体のなかで不協和音を産んだであろうことは想像に難くありません。「ストレンジャーストレンジャー・ザン・フィクション」でウォーロックに協力した4人組のうち、地味ながら自負するに足るカラテを持つテンカウントや、末期シックス並みのサイバネ強度だけど六人には入れなかったワイアードなんかは末期シックスに対して不満があったのではないでしょうか。あとアルバトロスは高所から戦場を俯瞰し要所でアンブッシュを仕掛けるあたりヘルカイトの劣化版であり、思うところがあったのかもしれません。
この4人組は割とあっさり負けましたけれど、この日のフジキドはラオモト・カンを仕留めるつもりでコンディションを調整してきているわけで鬼のような強さだったと思います。相手が悪かった。

その後

シックスゲイツはニンジャスレイヤー第一部の裏の主役であり、フジキドの戦いの一方でシックスゲイツの六人は戦闘集団→裏社会統治組織→劣化と組織の地位を変遷させ、その中で個々のニンジャたちの維持と欲望と悲喜交々が繰り広げられていました。
第一部完結とともにソウカイヤもシックスゲイツも滅び去りましたが、彼らはその後もたびたびその名を言及され、またグリーンゴーストとバイセクターとフゥージ・クゥーチの3人のシックスゲイツの再生怪人がその後に登場、ニンジャスレイヤー第三部の物語を彩っています。
グリーンゴーストはいまとなってはもとの人格がどれだけ残ってるかわからないですけれど、ダイダロスは確かにそのくらいすごいニンジャだったと思います。フゥージ・クゥーチはプロト版ウォーロックの妖しげな存在感からするとちょっと小物化してた感があり、その不完全燃焼さが現連載での異常な執念につながっているように思います。バイセクターは憎悪を糧にかつてよりはるかに強力なニンジャとしてシックスゲイツの矜持を示し、登場エピソード「サツバツ・ナイト・バイ・ナイト」は作中屈指の名篇となりました。
逆に第一部で完全燃焼したヘルカイトはその後ひと言も触れられていません。これはこれで大事に扱われているのだと思います。


第四部にてラオモト・カンの遺児ラオモト・チバによってソウカイヤは再建され、シックスゲイツの六人も再度結成されました。描写された範囲での初期メンバーはヴァニティ・ガーランド・ホローポイント・シガーカッター・カバレット・デッドフレアですが、損耗率の高さは相変わらずであり、早々に戦死したデッドフレアの後を受けてインシネレイトが昇格しています。今後の新シックスゲイツの活躍も楽しみですね。