忍殺1巻各話感想

ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上 (1)

ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上 (1)

「ゼロ・トレラント・サンスイ
最初に執筆されたエピソード。敵「こう来るのを……こうして……こうしてくれる!」 フジキド「イヤーッ!」 敵「バ、バカな―!」という一つの黄金パターン。
ミニットマンは米独立戦争民兵のことで、彼が電子戦争に参加していたことにちなんだ名前なんでしょうかね?電子戦争はキンカク・テンプルなみに裏設定の多そうな単語ですが。一方のイクエイションの意味を調べてみると等分とか出てきて戦慄します。登場意義がまっぷたつにされることだけだと……?
コミカライズ妄想は藤子不二雄A。
「べイン・オブ・サーペント」
まだ未熟さの残るナンシーが新鮮。
twitter版では非力さばかり目立ったコッカトリスだけど、追記はとくだんないもののイラストがコワイすぎるためにずっとおそろしい敵だったように感じてしまいます。きっとあいつなりに最大威力のドク攻撃で確実に殺害する予定だったのだろうし、また「縄めいた筋肉が浮かび上がる」と言えばツヨイ・スリケンだけど初期フジキドはナラクの力なしにはツヨイ・スリケンを撃てなかったはずなのでヘビをぶっちぎったのはやっぱりナラクの力だったんですよ、うん。
コミカライズ妄想は岸本斉史
「ネオヤクザ・フォー・セール」
短い話。営業が穴に落ちてカニに食われる。ネオサイタマを代表する光景ですな。
強さと弱さをキャラクターの中にあわせもつヒュージシュリケンはシックスの中のシックスと言えよう!その人間性のゲスさも含めて!
コミカライズ妄想は東條仁。
「メナス・オブ・ダークニンジャ」
書き足されてる部分がとくに多いエピソードですね。「何たるアバンダント・ダークサイド・オブ・ヒストリーの片鱗を漂わせる技であろうか!」。いまいちわからんかったゲンドーソー先生の実力がある程度明らかになったのは強さ議論的にうれしい。
ある程度状況を限定したうえで、バトル描写を「イヤー」「グワー」に絞る技法は、情報の神経伝達速度が最速になって素晴らしい。
コミカライズ妄想は車田正美
キルゾーン・スモトリ」
ネオサイタマに限らぬ普遍的な人間の悲しさを描いた作品。
どうしてもアクションに偏りがちなエピソード群のなかで、ここにこの渋い話があることは、全体のバランスをとるのにすごく効いてるように思います。配置の妙ですね。ワザマエであります。
コミカライズ妄想は石川雅之
「キックアウト・ザ・ニンジャ・マザーファッカー」
「ノビッ・タァー!」(ギンイチの鳴声)。
全童貞落涙必死のボーイ・ミーツ・ガールだったはずがアゴニィの大ハッスルでそれどころじゃなくなる話ですね。
ただ先の見えない未来に投げ出されるラストが良いです。
コミカライズ妄想は沙村広明
「アポカリプス・インサイド・テインティッド・ソイル」
サヴァイヴァー・ドージョーとの初顔合わせ。
フォレスト・サワタリはトリックスターというほどには特権的な存在ではなくて、一党を率いて誰にも従わず、ひょんなところに現われて敵にも味方にもなり、女とみるとさらおうとしたりとか明らかに最悪ではあるんだけどどうしてか憎めない、そんな男。英雄好漢といいますか、なんかこう武侠小説に出てくるわけわかんないサブキャラとかにこんなんいますよね。
コミカライズ妄想は久正人
「レイジ・アゲンスト・トーフ」
最初の長期エピソード。シックスゲイツが4人参加しての大規模作戦。
マッポーの巨大都市でマグロ目になりつつある男に訪れる転機だとか暴動だとか、モーゼズの小説の典型です。答えを出すのが難しい問題にたいしておいそれと答えを出さずにただそういうものとして描けるのはモーゼズの美徳ですね。
コミカライズ妄想は林田球
「サプライズド・ドージョー」
えー、個人的に問題のドージョーなんですが、twitter連載版の方が2割り増しでおもしろいですね。ハイウェイ上での戦闘が一部削られてしまっている点とか、後半のビジュアル的な表現の美しさが減じられてる点とか。なぜにヒュージの出番を減らすか。teitter版およびその前半でのハイウェイ戦は歴代エピやベストバウトでも自分的に5指に入る傑作なのですが。→http://togetter.com/li/73454
アースの戦闘力は対戦したフジキドの強さが乱高下しまくるのでつかみにくいですが、後に「ソウカイ・シンジケートの巨星」などと回想されてるし、強力なニンジャだったんでしょうなー。
コミカライズ妄想は桂正和
「ラスト・ガール・スタンディング」
温和な優等生のもとにあらわれて非日常を垣間見せながら、またすぐに去って行ってしまった転校生のガール・ミーツ・ガール。あとヤンクのヤンマガみたいな人生。
ヤモト・コキは師に恵まれている子なんですけど、説教属性のシックスゲイツのひとりソニックブームはある意味教師のひとりであったなーと思います。
傑作ドージョーと名作ラスガの因縁が交わるところに第3部「サツバツ・ナイト・バイ・ナイト」があるんですよね。そりゃ大傑作だわ。
コミカライズ妄想は押切蓮介
「フィスト・フィルド・ウィズ・リグレット・アンド・オハギ」
典型的な「ヨタモノの出てくる話」。ヒョットコには一瞬なにか深い社会批評が込められているような気がするんだけど、その印象が結局どこにもたどりつかずにただただ大きなハテナになっていきます。
かつてのインターラプターは、後に出てくるドラゴンベインくらいの戦闘力だったんじゃないかなーと思っております。
コミカライズ妄想はすぎむらしんいち
「ボーン・イン・レッド・ブラック」
新訳エピ。ニンジャスレイヤーの第一日目。最初のスレイ。はじめてまとうニンジャ装束と忍殺メンポ。
暗黒の七日間ってもっとナラクが前面に出てたのかと思ってたけど、むしろフジキド・ケンジ自身が悪党に堕ちていた時期だったんですね。
コミカライズ妄想は村枝賢一


その他
序盤は多少読みにくさを感じたように思います。あとまとめ読むならおそらくストーリーに傾く第2部の方がより面白いんじゃないでしょうか。逆に連続アニメにすると第1部はすげー映えるんじゃないかしらん。
サブタイトルイラストはトーフもよいですが、書籍版の冒頭にあって作品の世界観をばっちり提示するサンスイがとりわけ素晴らしいと思います。キャラデはヘルカイトが出色でした。