最近好感度の高い主人公
- 作者: 渡航,ぽんかん8
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/03/18
- メディア: 文庫
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八幡って他人に対して何も期待しないようにしてますし、他人が自分を好きになってくれるとも好きになって欲しいともそんなには思ってないのに、自分からはわりと他人のことをほいほい好きになるんですよね。この好きってのは恋愛感情じゃなくて好感度的な意味ですが。ひねくれてるけど根は素直で、フェアで、愛に満ちている……ように思います。6巻でテンションあがって「愛してるぜ!」を連発したときにはこれがこの子の本質であるなあと思いました。
- 作者: 妹尾ゆふ子,ことき
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2012/10/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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なんだか恋愛模様を見るときのニヤニヤとは違った種類の笑いがこみ上げてくるんですが、これはこれで不思議と好感度はさらに高まりましたし、今後どうなっていくのかはすげえ気になります。
- 作者: 秋田禎信,草河遊也
- 出版社/メーカー: ティー・オーエンタテインメント
- 発売日: 2012/03/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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オーフェンはその本質的な高潔さゆえにわかりやすい大義に背をむけなければならない人物でした。
マジクが2代目主人公をつとめたであろう第3部は描かれていませんが、マジクの少年時代と現在の落差から類推するに、かつて才能に溢れ・目端が利き・人に好かれる美少年だったマジクが、戦争の極限状況の中で周囲の大人たちに使い潰されていくたいへん鬱々とした話だったのではないかと類推されます。ユリアン・ミンツだったはずが気がつけばカミーユ・ビダン、みたいな。
んで、原大陸編の新主人公マヨール・マクレディなんですが、こいつが非常に好感度高いです。
最初『約束の地で』で初登場した時はとくだんおもしろみのないキャラだったんですよ。若いのに頭の固い、エリート一家の長男坊で。それが、再登場したときは何か雰囲気が違うんですよね。角が取れてて。しかも生意気にも婚約者を連れています。
マヨールの婚約者イシリーンは、旧シリーズに登場せず旧シリーズのキャラと血縁関係にも無い完全新規キャラで、かつそのほかの完全新規キャラと比べても最も活躍シーンの多い登場人物です。つまり、ベタにもメタにも旧シリーズからの積み重ね・しがらみから自由なキャラクターが、その自由な意思でもってマヨールと婚約しているんですよね。イシリーンという人物自身も気が強く独立心も生活力も高い女性として描かれており、その点からもマヨールという人物によほど好意を抱くにたる何かがなければ婚約なんかせんだろうなあと思われるのです。
じゃあそれはいったいなんだったのか。マヨールはなにを得たのか。
ポイントなのはマヨール自身はそんなに変わってないってことで、基本的には『約束の地で』で初登場した時と同じつまらない堅物のエリートです。そういう、つまらないなりに確かなマヨールのマヨールらしさを持った上で、でもそれ「だけじゃない」奴なのがいまのマヨールという人物であるように思います。自分自身を持ちながら、自分らしさや自分の立場に閉じこもることなく、ときに相手を慮り、ときに自分らしくないこともやってみる。
読めてる人には『原大陸開戦』の時点で読めてたんでしょうけど、自分は『鋏の託宣』でようやく言語化できました。
力の怪物でも個性の怪物でもコミュニケーションの怪物でもなく、まばゆい勇者でも昏き魔王でもなく、平凡ではないけどとりたてて特別でもない奴が自分自身の枠組みをちょっとだけ踏みこえてみせる事に焦点を当てたキャラメイクには、西森博之作品的な奥ゆかしい魅力を感じますね。