読もう!ニンジャスレイヤーとあわせておすすめなライトノベル

ニンジャスレイヤーのアカウントをフォローしてる人も4万人を越えた今日このごろですがみなさんどうおすごしでしょうか。


ニンジャスレイヤーのファンの人におすすめなライトノベルをいくつか選んでちょっと紹介も付けてみました。「他にこういうのもっとないの?」と思ってる人のご参考になれば幸いです。
手に入りにくい本もいくつかありますが、それは商品の回転の速いラノベの宿命でもあるのでAmazonなり図書館なりを利用してみてください。


ブラックロッド (電撃文庫)

ブラックロッド (電撃文庫)

呪術がサイバーパンク的に高度に発達したif未来、積層殺伐都市ケイオス・ヘキサを舞台とした3部作。
魔導特捜官ブラックロッドと私立探偵ウィリアム・龍が怪事件を追う『ブラックロッド』、吸血鬼が連鎖的に発生するヴァンパイア禍を背景にした墜落系ボーイ・ミーツ・ガール『ブラッドジャケット』、ケイオス・ヘキサ崩壊の日のしっちゃかめっちゃかを描く『ブライトライツ・ホーリーランド』の3作がそれぞれに面白いです。
現代・近未来風の異世界ラノベでもよくあるジャンルですが、そのなかでも用語・設定の出来がぶっちぎりに上手くてオシャレです。ニンジャスレイヤーもしばしばそうですが、馬鹿だ馬鹿だと思ってるといちいちきっちり元ネタがあるような話は良いですね。
異形の言葉によって描写される異形の都市との新鮮な出会いは、ネオサイタマという都市に初めて触れた時と同じ興奮を与えてくれるでしょう。


ブギーポップは笑わない (電撃文庫 (0231))

ブギーポップは笑わない (電撃文庫 (0231))

キックアウト、ラストガール、エニグマ、グッドタイム、サファリングといった学園忍殺シリーズに特に顕著ですが、“起承ニンジャ結”という忍殺における物語の流れの中で、起承にあたるモータルの若者の日々と心情の描写がどれほど重要であるか、ファンのみなさんであれば良くご存知であると思います。
ブギーポップシリーズはラノベ史上に燦然と輝くヤングアダルト学園伝奇の名作であり、まずこの鬱屈した青春と茫漠とした世界と軋む日常の描写がすごい良いです。
そしてその上で、日常から踏み外してしまった若者たちが一瞬だけ出会う怪異、正体不明の陰謀組織「統和機構」の走狗である合成人間たちの屈折した内面や、女子高生の間で広がる都市伝説に語られる死神ブギーポップのワイヤーアクションがまた渋カッコいい。
学園忍殺の面白さは、主に学園伝奇としての秀逸さにありますから、同じ感覚を読めるという点ではブギーポップは特におすすめできると思います。


コップクラフト (ガガガ文庫)

コップクラフト (ガガガ文庫)

超空間ゲートによって地球と結ばれたソード&ソーサリーな異世界レト・セマーニ、両世界の交流地点として発展を遂げた都市サンテレサ市を舞台に、サンテレサ市警特別風紀班の刑事マトバとレト・セマーニから派遣された女性騎士ティラナの活躍を描くバディもの。
くたびれカッコいい中年男性を主人公とし、擬洋ドラの洒脱さをもって描かれる都市の生活と犯罪捜査ドラマが実に魅力的。ブギーポップは学園忍殺と比較しましたけど、こちらはフジキドやガンドーや49課を視点人物とした話と方向性が似ています。
ちなみにマトバをはじめとしたサンテレサ市警の刑事たちの多くが遭遇初期にレト・セマーニとの間で起きた戦争への従軍経験者であり、このあたり初期シックスゲイツを連想したりもしますね。


耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳 (ファミ通文庫)

耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳 (ファミ通文庫)

ジャンルとしてはニンジャスレイヤーとは全然違うんだけど、ニンジャスレイヤーと同じようなスゴさのある作品を読みたい人向けにこちらを。
西尾維新の『化物語』みたいなHENTAI饒舌一人称の青春小説なんですが、舞台が旧共産圏風の異世界であるという点が普通でない。
異世界FTなのに他作品のパロディなんかをポンポン放り込む一人称叙述と世界各地から集まった学生たちによる異文化コミュニケーション学園生活とでもっともケオティックな1巻、ギミックの劇中劇と物語の噛み合わせがバカウマで後半の恐るべき盛り上がりに読んでてひっくり返る2巻、そして学園生活の点景と恋のゆくえを描くなかに切れ味鋭いヨタと静謐な美しさが満ちた3巻、全3巻のそれぞれがそれぞれの方向に面白いです。
ネタ・ヨタと情景描写が不可分に結びつき、実在感ある無二の異世界が立ち上がってくる感覚は忍殺におけるネオサイタマ描写にも見られるものであります。
また、語り方のむちゃくちゃさの奥にあるキャラクターとストーリーの魅力に気づいた後、でもやっぱり作品の言語センスにこころ奪われなおしていく、与太に回帰していく楽しさもニンジャスレイヤー的であると言えるでしょう。


龍盤七朝 DRAGONBUSTER〈01〉 (電撃文庫)

龍盤七朝 DRAGONBUSTER〈01〉 (電撃文庫)

武侠小説風の架空の世界とその七つの王朝の歴史を描いていく(予定)のシェアードワールド小説。
先に挙げた『ブラックロッド』の古橋秀之と『イリヤの空、UFOの夏』などで知られる秋山瑞人のコラボレーション企画でありまして、二人の才人が互いに影響を与えつつそれぞれに面白いという点で、ブラッドレー・ボンド&フィリップ・ニンジャ・モーゼズ両氏の手によるニンジャスレイヤーと同様の作品であると言えるでしょう。
加えて『龍盤七朝 ケルベロス』『龍盤七朝 DRAGONBUSTER』両作品ともに、インフレイムとも同等と言える最高水準の文字媒体による戦闘描写を目の当たりにできるという点でも極めておすすめです。


この世界がゲームだと俺だけが知っている 1

この世界がゲームだと俺だけが知っている 1

辺境の老騎士 1

辺境の老騎士 1

最後に同時代の作品として、内容面ではとくだんニンジャスレイヤーっぽくはないものの、忍殺と同じくWEBで発表されたものが人気を博しエンターブレインのソフトカバーで書籍化した作品を2作。
『この世界がゲームだと俺だけが知っている』はゲームが現実と化した異世界をバグ技・裏技を武器に駆け抜けるライトFTで、『フォーチュン・クエスト』や『極道くん漫遊記』や『スレイヤーズすぺしゃる』みたいなハチャメチャさがあり、すげえすげえ楽しい作品です。
一方、辺境諸国を旅する老騎士の活躍とグルメを描く『辺境の老騎士』は、『剣客商売』と『三銃士』をあわせたような作風のライトFTであり、奇抜な設定をあえてもりこまずゆったりと進んでいく物語が魅力です。
エンターブレインのソフトカバーはログホラやオバロも面白いので編集の人は有能であることだなあと思いますね。