『男子高校生の日常』を読んでなごむ話

5巻買いました。
2012年1月からはアニメ版の放送も本格的に始まりますが、自分はこの作品がすげー好きなのです。
唐突にはじまり途中でへし折れる物語、前に進まぬ時間、険悪な男女関係、伝わらぬ心づかい、ろくでもない思い出……。実にいごこちがよい!くつろげる!まったくこころのふるさとのようですナ!


人間てな面白いもので、崇高な何かに心を震わせられることを望む一方で、破滅と虚無への欲求もまた同じ人格の中に持ち合わせているものであります。
どちらか片方ばかりでは息が詰まってしまうので、世の中におけるそれぞれの相ごとに、ある時は社会全体がぶっ壊されるディザスタームービーや怪獣映画を見たくなるし、青春ラブコメを楽しく眺めつつ「だれか死んだら面白いのに」などと思うのです。そして『よつばと!』や『けいおん!』のような正の成長性を背景にした日常を描く作品を読んだ時には、『日常』における破壊される物語としての日常性や、みなみけ』におけるディスコミュニケーション『WORKING!』のむやみにストレスフルな人間関係を摂取したくもなるわけです。
どうにも格好のつかない男子高校生どものぐだぐだな日々が展開される『男子高校生の日常』は、そんなような楽しくもろくでもない日常を描いた作品の決定版といえる作品であり、読んでるときの感触としてはけいおん!』と『行け!稲中卓球部』のちょうど真ん中くらいの作風のマンガであります。味付けは薄口で。


とりわけ女性への恐怖感は馴染みますねー。女子が怖い……女子が怖い……姉も妹も幼馴染も怖い……女の子と付き合ったりはしてみたくもあるし、パンツとかにも興味は無いとは言わん……だが女子は怖い……!というよな感覚。
登場する女子キャラの半数が目元が描かれないのっぺらぼうになってるのがスゴイ。別にモブってわけでもないのに。逆に言うと顔が見える、怖くない女子はすでに恋愛対象からはずされているわけで、実に不毛です。そして巻末特別読みきりシリーズ「女子高生は異常」の破滅的ガールズトーク!なごみます。
まあ悪趣味といや悪趣味なんですが。ハーレム萌えコメと同じくらいにはね。


マンガもアニメもとても軽い仕立てで、各話もごく短く、気軽に読める/見れる作品です。なので、どんな作品なのかは以下の公式ページで↓
http://www.square-enix.com/jp/magazine/ganganonline/comic/danshinichijyo/
http://www.danshinichijyo.net/
さくっと試し読んでもらえればお分かりいただけるかと思うんですけど、ただ、メインの馬鹿男子3人組のキャラはある程度把握しておいたほうがいいんではとも思うので、ちょっとメモしておきます。

右端のメガネ:ヒデノリ
基本的にはヨシタケと互換。もうちょっと突っ込んで見ると、たぶん3人の中ではこいつが一番スペックが高いです。運動神経もいいし気もよく回る。ただ、彼の能力の高さは本当ににクソどうでもいいところでしか役に立たない。せんでもいいのに余計なことに気を回してドツボ、みたいなネタが多い。
中央の金髪:ヨシタケ
基本的にはヒデノリと互換。思考よりも先に行動し、踏みとどまるべきところでアクセルを踏む男。ノーガードの冒険野郎。ものを考えて行動する機会が少ないのでこいつが視点人物になる回はほか2人より少ない。3人でいる時はヒデノリが振ったネタにヨシタケが乗っかって被害を拡大させる。
左端の半眼:タダクニ
3人組のツッコミ担当。常に半歩ぶん乗り遅れている男。ピンのネタでもだいたいそんな感じ。一見クールに見えるが、大丈夫、単に表情筋の反応が鈍いだけだ。妹がひとりいる。はぶられっ子のミツオくんが登場してからは存在価値が半減した。


単行本だと、1巻から面白いネタはありますけど、良ネタの密度が上がってくるのは2巻からですかねー。好きなネタは16話の川原で姉ちゃんにジャイアントスイングされた思い出の話。心に沁みますね……。
(おわり)